Published: February 05, 2018
タイの若者の流行の発信地の一つでもあり、観光名所でもあるチャトゥチャック市場(ウィークエンドマーケット)を運営するタイ国鉄はこのほど、今年6月までに同市場のキャッシュレス化を進める意向を示しました。今後は入居店舗の全てでQRコードの決済が可能になるほか、携帯アプリで各店舗の位置情報や顧客の店舗評価などを組み込む計画です。同市場ではすでにアユタヤ銀行などが、現金を事前にチャージして使うプリペイド式QRコードシステム「Di-ウォレット」の運用を開始しています。
タイは金融面でのキャッシュレス社会を官民挙げて進めています。タイ国内は以前現金決済が中心となっている一方、スマホユーザーは全人口の7割を超える5000万台を超え、21年には8000万台を超えるとの予想もあり、政府は「キャッシュレス化は最重要政策の一つ」としています。政府はナショナルeペイメント振興政策を進め、2017年には携帯電話の番号だけで送金できる新システム「プロムペイ」が普及したほか、QRコードを使ったスマホ決済は昨年8銀行の「砂場」での実験終了に伴い許可がおりました。準備が整ったことで、小売業などさまざまな業態でQRコードを使った決済が導入されています。
こうした流れから、昨年後半から今年初頭にタイでは、次々に「QRコードを導入する」といった発表が相次ぎました。昨年はマクドナルドやバンチャーク石油に巨大ショッピングモールを運営する「ザ・モール」。今年1月には、最大手シネコンや商業施設開発運営会社セントラルパタナー(CPN)、シェル石油が導入を発表しました。CPNは今年中に6000の店舗に導入する予定です。
もちろん、タイでのキャッシュレス化の動きがこれまでなかったわけではありません。その草分けがマクドナルドです。2011年にはVISAの電子マネー「Visa payWave」を導入。その後はラビットカード(日本のSuicaです)やLine Payなどに次々に対応していきました。昨年11月にはQRコード決済も導入し、一部報道ではセルフレジシステムなどの導入と合わせて、キャッシュレスでの支払いは全体の5割を占めているとのことです。最近では日本人の長谷川潤CEOが率いるOmiseとも業務提携し、同社のオンライン決済サービスを導入しています。
QRコード決済は都市部だけでなく、地方の一部地域ですでに始まっており、生鮮市場や屋台、バイクタクシーなどの庶民の消費市場に広がっています(動画はこちらから)。
現在は大手通信会社トゥルーの金融部門であるトゥルーマネーなどが参加する企業連合がノンバンクの決済サービスプロバイダーにも解放するよう求めるなど非銀行系の参入が今後は相次ぎそうです。
Photo via Tesco Thailand