Published: November 08, 2017
ニューラルネットワークの学習に関してハンドクラフトの側面が指摘されてきました。急速に多層化する畳み込みニューラルネットの学習においては黒魔術のようなテクニックが必要とされてきました。ネットワークを設計するプロセスは、しばしば著しいレベルの機械学習の専門知識を持つ専門家がかなりの時間を費やし、実験を幾度となく繰り返すことを必要とします。
Googleはこの困難さをこう説明しています。「可能な全てのモデルの探索空間が膨大になりうるため、機械学習モデルを手動で設計するプロセスは困難である。典型的な10層のネットワークは10の10乗の候補のネットワークを持ちうる」。
Auto MLというプロジェクトが公にされたのは今年の5月です。Googleは機械がニューラルネットの学習を助ける方法を見つけようとしています。もしこれが実現すれば、AIシステムを構築することから、多くの手作業を取り除くことができるかもしれません。
AutoMLでは、ディープラーニングのネットワーク設計を人間が一つひとつ試行錯誤しなくてもよい。強化学習アルゴリズムを使い、膨大な数のネットワークをテストできます。アルゴリズムのそれぞれの実行から得たフィードバックを、次の実行に向けた新たな候補の作成につ変えます。これを繰り返すことで、より優れた結果をもたらすモデル構造を導き出すということのようです。
テック企業は顔を認識できるスマートフォンアプリから自動運転車まで、あらゆることを約束しています。しかし、この新しい種類の人工知能を推進する複雑で時には神秘的な数学的アルゴリズムを構築するために必要な教育、経験、才能の持ち主は世界中の10,000人にすぎません。
Google、Facebook、Microsoftなどの世界最大のハイテク企業は、AI専門家に年間何百万ドルの給与を支払い、争奪戦を行っています。これらのスキルを習得するには長年の努力が必要なため、専門家が不足しているのです。このためAI専門家の作業を自動化するというアイデアは研究のホットスポットになっており、AIシステムが複雑になるにつれて必要となります。
Alphabetが2014年に買収したDeepMindは、Googleのデータセンターの電気料金を削減し、Googleが新しい都市を地図にする能力を加速させました。 AutoMLはこれらのエキスパートをより生産的にしたり、熟練度の低いエンジニアが強力なAIを構築するのに役立つと考えられています。スンダー・ピチャイ氏は「私たちはこれを民主化したい」と語っています。誰もがニューラルネットの学習を行うAIをクラウドから活用できるようになるならば、AIは本当に水のようになるでしょう。