ブロックチェーンはシェアリングエコノミーを加速させる トークンが生み出す新しい経済

Published: October 20, 2017

Airbnbの年間宿泊数が1億ステイを超えると、同社は予測している。Airbnbは高級版を出そうとしている。Airbnbがホテル産業の脅威になっていることは間違いがない。

今後のAirbnbのスケールには、利用者の信頼の確保が課題だ。Airbnbには宿泊にまつわる人種差別や性的被害、暴力などが報告されている。大多数の運用がうまくいっているとしても、少数のバッドガイによる過ちが枠組み全体に影響しうる。より精緻なデータアナリティクスにより問題を事前に予防をしたり、信用スコアをつくることで、利用者が良い行動をとることにインセンティブを与えたりするなどの改善点が考えられる。プラットフォームがデータを扱う際のレギュレーションを緩和することで、データ解析のレベルが大幅に拡大し、サービスが安定する可能性がある。

トークンとシェアリングエコノミー

何もかもを取引可能にするブロックチェーントークンに注目しよう。「トークンエコノミー」はこの世界の重要な変化だ。資産の利用権を時間ごとに割り、それをマーケットプレイスに載せられるのだ。Ethereumベースのトークンの評判は、Ethereumプラットフォームで行われた、無数のやんちゃなICO(イニシャルコインオファリング)のせいでかなり低下してしまった。非中央集権とガバナンスをトレードオフにせず、両者を補完できる方法が求められている。

  1. Etererum上のサービス・ビジネス開発を進めるConsensysによると、ブロックチェーンはトークンドリブンの未来を実現する。
  2. セキュリティとコストの両面でトークン発行の障壁をなくす(筆者注;これまで大企業、政府に限られていた)
  3. グローバルで自由なトークンの取引を許容する

透明性の確保されたグローバル台帳に基づいて、トークンが活用される。以前はすべてのトークンはそれぞれ個々の所有するサイロの中に閉じ込められていた。なめらかにグローバルスケールでトークンを交換することで、より効率性を増すことや新しい形体の協力を可能にする.

トークン化された資産は、物品が極めて直接的な形で取引されることを可能にする。ときにはお金という形体を伴わずしてできる。Ethereumにおいては、ネイティブトークンであるEtherがトランザクションを処理するなかで必要な燃料として作られる。つまりミドルマン(中間者)なしの人と人の取引が生まれる。C2Cという形が生まれるが、C=消費者という言葉自体が状況にそぐわない。

例えば、さまざまな世帯がテスラの提供するソーラーパネル付き屋根を採用して発電をしており、その電力を融通するためのスマートグリッド(次世代送電網)が整備されている社会を想定してほしい。電気自動車やスマートホームで利用された電気に余剰が生じた場合、各世帯が余剰電力をトークンという形でマーケットプレイスに置くと、電力移送コストが合理的な範囲にある家庭・事業者がトークンを購入し、電力を買うことができる。

AirbnbはC2Cの間に善意の第三者として挟まり、取引の仲立ちをしている。仮にEthereumのような分散型アプリケーション構築プラットフォームがAirbnbの提供するプロセスをより低いコストで取り込んだら、より中間者の少ない取引が始まる。

Permissionless vs Permission base

「パブリックブロックチェーンの世界」では個人 / 法人の情報をセキュアに管理する新しいデータベースの可能性があり、新しいビジネスモデルをもつベンチャーを生む可能性がある。企業や政府のサイロの中にトークンの管理権が保持されると、既得権益化するため、個人が何かを実行するインセンティブが薄れてくる。日本のように政府が経済をコントロールする意欲が強く、企業が利益をあげたり、事業拡大のために投資したりすることに興味が薄い国では、きわめて組織に依存する個人が生まれる。これらの個人の集合と組織の生産性は低く、外部との競争を苦手とする性質を持ちやすいと筆者は考えている。もちろんこれは完璧な一般論ではなく、日本という状況の描写において正しいということだ。

AWS的なものがあらゆる領域に拡大していくと、インターネット産業以外でも、マイクロアントレプレナーが無数に増えていくことが考えられる。経営に必要な資源をすべて「利用」ベースで安価に融通することができる。 自分の評判(Reputation)などを証明書替わり協力を呼びかけることで、労使関係ではない関係、パートナーシップで仕事をするようになる。収益の分配に関しては自動的に執行されるコントラクト(Smart Contract)を活用するべきである。

北米では人材のフリーランス化が進んでいる。この時代に向けて労働関係の法規や、賃金の慣習などを変えないといけない。ベーシックインカムも整備していくことで、人の働き方は変わるし、生き方も変わる。ブロックチェーンはベーシック・インカムの運用に貢献できる可能性が大いにある。

Reference

「日本企業は静かにブロックチェーンを活用しはじめている:監査法人トーマツ」 「シェアリングエコノミーはジョン・レノンの『Power to the People』」

Photo by Ryoji Ikeda studio on Vimeo / Creative Commons